引退馬支援で黒字が出ることは悪いことなのか?

引退馬支援について

【おことわり】
これから述べるお話は、直近の引退馬を巡る諸問題を意識して述べていますが、特定の団体・事象に対して賛同・非難する意はありません。

引退馬支援のお金の流れ

昨今、引退馬を巡る「お金の問題」が再び話題になることが多くなっています。

①引退馬の世話にはお金がかかる
②慈善事業のような受け取られ方をされることが多い

ということが問題の根っこにあるかと思います。

直近では「集金方法の多様化」「集まったお金の透明性」のあたりが問題視されるケースも増えています。

とりわけクラウドファンディングのように、不特定多数の協力してくださる方々から善意によってお金を集める手法が増えたこともあって、②のような受け取られ方をするケースが多いように見受けられます。

では、果たして引退馬支援はそのような慈善事業のような扱いのままでよいのか?

今回の記事では、そのあたりのお話について「ゴットフリートの会」の事例なども紹介しながらお話しできたらと思います。

ゴットフリートの会の場合

「ゴットフリートの会」の会計収支は、引退馬協会さんにお願いしております。

これは会計の透明性を適切な形で開示し続ける自信がなかったこと、そして引退馬協会さんは「ナイスネイチャ・バースデードネーション」でも明朗な会計をしており、とても信用できたため管理をお手伝い頂いています。

そんな引退馬協会さんのサポートもあって、「ゴットフリートの会」は順調にサポーターも増えており、現在では単月収支でいえば、ほぼトントンの状態に近づきつつあります。

サポーターや寄付に関しては下記のバナーをクリックしてご確認ください。

「ゴットフリートの会」の詳細はこちら
https://got-support.net/membership/

収支がトントンに近づいているということは、近いうちに会費収入>預託料となります。ビジネスに置き換えると、黒字転換ということになります。

では、その黒字になった分はどうなるのか?

たとえば、会社であれば、その儲かった分を株主や役員・社員に分配したりします。新しい設備投資に回すケースもあるでしょう。これが通常の事業です。

一方で、引退馬支援の場合は、これと同じにすることはできません。

馬房を新しくする・馬着を買うなどの備品購入などに使われることはあっても、引退馬支援のために集めたお金をスタッフなどに分配することがあれば、心情的に受け入れらない人が多いかと思います。

話を「ゴットフリートの会」に戻しますが、このあたりの収支については、実は引退馬協会さんに何度かご相談しています。

結論書くと、皆さまから頂戴した会費のうち、預託料などの必要経費を差し引いた金額については、未来のゴットフリートのためにプールすることになります。

ゴットくんはまだ12歳と比較的若く、かつ、この先、現在のサポーターさんも継続してくださるかは確定していません。

私自身も、ゴットくんを引き取るまでに、それなりのお金を溜めて準備してきた訳ですが、それはあくまでも私が働き続けられる前提での金額です。私の身に問題が起こることも十分に考えられます。

ですから、短期的な視点で「あの引退馬団体は儲かっているんじゃないか?」というような目で見られてしまうこともあるかもしれませんが、決してそうではないということをご理解頂けますと幸いです。

「ゴットフリートの会」では、引退馬協会さんに相談しながら「これぐらいの貯えがあれば当面は大丈夫」というラインを目指しながら会の運営や会員募集を続けてまいります。

ちなみに、これは余談ですが、当初、ゴットくんのグッズの作成・販売などもアイディアのひとつにありました。

しかしグッズの販売をして利益を出すと、税金がかかるなどの手間も発生してしまうので当面は実施しない予定です。ただグッズなどがあるとサポーターの皆さまも喜ばれるかと思いますので、サポーター向けのグッズの作成・配布は考えていきたいと考えております。

ぜひ「こんなグッズがあったら嬉しい!」などのアイディアがありましたらコメント欄までお願いいたします!

引退馬支援の未来図

この記事の最後に、引退馬支援事業について私の見解を述べておきます。

「引退馬のために集めたお金は、引退馬のために使われるべき」

これが引退馬支援の大前提です。

ただ、ここで難しいのは「引退馬のために使う」という部分です。この範囲をどう考えるか? すぐに思いつくのは、馬の飼葉代・馬の治療費などでしょう。

でも、果たしてそれだけでいいのか?という疑問が残ります。

実は引退馬支援において、大切な要素がもうひとつあります。それは、

③引退馬を世話する人を増やしていく

という視点も大切だと考えています。

昨今、ウマ娘ブームなどもあり、競馬や引退馬に関心を持つ方は増えており、前述の「ナイスネイチャ・バースデードネーション」では2年連続で驚くほどの募金が集まりました。

その一方で「この先、預託先や飼育スタッフは足りるのか?」という不安もあります。

皆さまからお預かりしたお金を適正に使うことが前提ですが、その中の一部を馬を世話する人たちを増やしていくために投資をしていくことも重要なのではないか? 私はこのように感じています。

引退馬支援を慈善事業のように捉えるなら、馬のために集めたお金が人に回ることに疑問に感じる方もいるかもしれません。

しかし、事業である以上、成長が必要ですし、そのためには人への投資も必要でしょう。

こうしたことへの理解が広がることで、引退馬支援は次のステップに進むことができます。

そして、そのために各支援団体が、協力してくださる方々を裏切るようなことをせず、信頼を積み上げていくことがとても大切だと考えます。

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