2022年4月、TCC(Thoroughbred Community Club)のTCCアカデミーと呼ばれるオンラインセミナーを受講しました。そこで学んだ、初めて馬を見学したり触れ合ったりする際にの注意点などをまとめました。
馬と接するために知っておくべきこと
この講座では、あらためて馬がどういう性格で、どういった身体的な特徴を持っているのかについて解説がありました。この記事では、その中でも【初心者の人が馬と接する際に注意すべき点】についてまとめてみます。
たとえば、引退馬の養老施設などで馬に餌をあげる時や、牧場を訪問して柵の遠くから馬を見学したりすることがあるかと思います。その際に馬たちを驚かせたり、ストレスを与えないようにするための方法ですので、これから馬に会いに行くという方はぜひ参考にしてみてください。
馬の視界について
当たり前といえば当たり前ですが、どうしても私たちは人間の視野で物事を捉えてしまいがちですが、人間と馬では視界の範囲や見え方が異なります。
馬の視界は350度見えていると言われており、真後ろの10度以外はほぼ見えています。これは馬が草食動物、つまり肉食動物に捕食される側の立場ですから、広い視野でいち早く肉食動物の存在に気付くために広い視野を持っています。
その中でも顔の真正面の約60~75度は「両眼視野域」と呼ばれ、人間と似たような“距離感が掴める”視野を持っています(ただし視力はあまり良くありません)。
一方、残りの真後ろを除く横~斜め後ろの約150度の領域は「片眼視野域」と呼ばれ、片目だけで見ている視野になり、”距離感ははっきりしないものの、何かがいることはわかる”ぐらいに、ぼやっと見える視野となります。
ですから、たとえば放牧地などで柵の近くに馬がいる場合、この片眼視野域のあたりから近づこうとすると馬を驚かせることになりますから、馬への近づき方には注意が必要です。さらに馬は横方向に蹴りを繰り出すこともできますから、あなた自身の身の安全を守るために、横や後ろ斜めから近づくことはやめましょう。
餌やりなどの注意点
このように書くと、「真正面から近づけば安心」と思いがちですが、そうでもないようです。別の機会に行なわれたナチュラルホースシップの初級者講座で学ばせて頂いた話ですが、馬が鼻づらを合わせて真正面にいる時は相手との関係性を図っている状態だと言います。
今回はその部分の詳しいことは割愛しますが、関係性を築いていない状態で真正面に立たれることは馬にとってストレスとなりえます。
ですから、その馬と初めて接する場合には、なるべく斜め前方から接し始めるとよいと今回の講座では教えて頂きました。
また、馬は前方の視野はしっかりしていると書きましたが例外もあります。
私も初めて知ったのですが、馬にとって口元(先っぽ)は隠れた死角になるそうです。ですから、よく馬ににんじんをあげる場面などを見かけますが、ああいったシーンにおいて、馬は鼻先の触感などを頼りに餌を食べています(言われてみれば、確かに目線は餌に向いていないですね)。
なので、観光牧場などで餌をあげる際に、馬が間違って私たちの手まで噛んでしまうことがありますが、それは仕方がないこと。私たちが指や手を嚙まれないように注意を怠らないことが大切です。
馬は臆病。でもスゴい!
他にもいろいろ学ばせて頂きましたが、今回はここまで。TCCアカデミーはこれからも開催されていくそうですので、そこで気付いた学びなどは、随時、ここに記していこうと思います。
今回の最後に改めて気付かされたことを書いてまとめとしようと思います。
私たちは、毎週・毎日のように行われる競馬を見ているせいか当たり前のように思ってしまいますが、「馬が人を乗せている」ということはスゴいことなんだと思いました。他の動物を見渡した時に「他に人を乗せられる動物っているだろうか?」と考えた時に、そんな動物はほとんどいないことに気づかされます。思いつく限り、タイなどにいる観光用の象ぐらいではないでしょうか。
そして、前述の通り、馬は捕食される側の動物ですから基本的には臆病です。そんな彼らが自分たちにとって死角である背中に、別の生き物を乗せて、落とさずに走る。これがどんなに凄いことか。その際に、鐙などを通じてコミュニケーションがとれる。
馬たちはいろいろな我慢を乗り越えて、怖さを感じながら競馬や乗馬という楽しみを私たちに与えてくれています。ですから、そんな彼らの信頼に応えるために、私たちは彼らにストレスを与えない方法や、快適に過ごせるための方法について考えてあげるべきだ、と改めて感じました。
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